セジョン市3　～韓国に最先端の幸福都市ができたわけ～

韓国の最先端都市、
世宗（세종/セジョン）市。

　
それにしても、どうして
こんな都市を作ることになったのか気になりませんか？

果たして作る必要があったのか？？
　
そのわけをナマケモノ（韓国人の夫）に聞いてみました！

簡単に解説しますから皆さんご安心を。

セジョン市に政治的背景が！？
　

実は政治的背景があったんですよー。
前回の記事をご覧でない方は、
まずコチラをどうぞ～↓　
➔ セジョン市1　～ハイテクバスの出現！？～
➔ セジョン市2　～最先端都市ってどんな都市？～

韓国は、市と道(ド)で構成されている。

道（ド）とは簡単に言えば日本の都道府県のようなものだ…。
※ただし、市のなかでも特別市や広域市などは例外で道（ド）に属さない。
　

次の図をご覧ください。　
　


韓国も政治には政党が存在する。
　

で、選挙のときに
　

ある地域（全羅道）はA党を
ある地域（慶山道）はB党を
　
そして、別の地域（忠清道）は

その時々で都合のよい党を支持している傾向にあるわけです。

　
　
ところで、　
　
政治家たちは選挙のたびにいろいろな公約を掲げます。

たくさんの票を獲得するために知恵を絞るわけですね。
　

そこで考えたのが、
　
「未開の地に新しい都市を作って
　そこを活発化させよう！！」

という公約。

「政府機関をその地へ設け
　第二の首都のように発達させれば
　ソウルに集中した人口も
　分散されいいのではないか？」
　　

このような公約を掲げたのは恐らく選挙での票集めのためである。
　

A党もB党も票を増やすためには
何とかして中立の立場の
忠清道（チュンチョンド）地域の票がほしい！！　


　
田舎の地に、新都市ができれば周辺の地価が急騰し国民が不動産投資で儲けることもでき、

　　
・その地域の住民たち
・その近郊の住民たち
・不動産投資を狙っている人たち

が賛成しその政治家に票を入れるというわけだ。

　
　
実は、このようなことが前にもあったんですよ。

　

　
中立の立場忠清道(チュンチョンド)に
大田（テジョン）市があるんですが
　
「大田（テジョン）市に
　政府機関を全て移そう！」と。

　
しかし、その地域の票を獲得し
当選した大統領は公約を完全には守れなかった。

　
皆さん、ソウルにある政府機関を
テジョン市に移すのに
いくら費用がかかると思いますか？

　

建築費、設備費、引越し費用だけではすみません。

政府機関で働いている人たちは会議等、
ことあるごとにソウルとテジョンを
KTX（高速鉄道）で行き来することになります。　

　
その交通費も含め
一体どれほどの税金がかかるのか！

　
現実的に考えたときに反対派も多いわけですね。

　
しかし公約を守らなければ選挙で票をくれた人たちが怒ります。　

　　
結局、反対派の圧力により
全て移すことは無理ということで
あまり重要でない部署である特許庁等
一部の機関だけがテジョン市に移されたわけです。　

　

写真中央の4つのビルがテジョンの政府庁舎です。↑

　　
　
これと同じことがまた起こったんですよ！

　
忠清道（チュンチョンド）地域に
行政都市、世宗（セジョン）市を作り
50万の人を呼び込もう！

　
「ソウルに集中した人口を　分散させ均等にしようではないか！」

　
今度は市自体を作り、そこに政府機関を移そうというわけだ。

　
このときの大統領はノ・ムヒョン氏。

　
任期が終わり大統領が代わると
セジョン市建設計画が
白紙にされる可能性もあるので

　
彼は自分の任期中（4年間）に
莫大な予算をセジョン市建設プロジェクトにつぎ込んだ。

　
すでに多い費用を投資し
計画を進めてしまえば
大統領が代わっても今更後戻りできなくなるという計算である。

　
ノ・ムヒョン氏の次は
イ・ミョンバク大統領、
現在の韓国の大統領である。

　
イ・ミョンバク大統領はセジョン市建設に反対だった。

　
以前の大田（テジョン）市への
政府機関移設のとき同様
莫大な予算と労力を使うことになるから。

　
プロジェクト中止しようとするも
セジョン市建設支持派の強い反対と
すでに前大統領がつき込んだ莫大な予算
　
中止は非常に困難である。

　
代替案として
有名企業の本社を移して
経済都市にしようと提案するが
それには野党も与党も反対した。

　
皆さん、経済都市案に
どうして与党も野党も反対したと思いますか？

　
次の選挙を控えているからですよ。

　
もともとの行政機関を移すという
前大統領ノ・ムヒョン氏の
公約どおりにしないと
忠清道（チュンチョンド）地域の
住民の怒りを買い、

　
その人たちから次の選挙で票をもらえなくなるからである。

　
結局、イ・ミョンバク大統領は仕方なく行政機関を移すことにしたのである。

　
ただし、これも
大田（テジョン）市のとき同様、
一部の政府機関だけであるが。　

　 　

こうやってセジョン市が誕生したわけです！
　

特定の支持する政党を持たない
中立の立場の忠清道地域の人々は
選挙のたびに
与党や野党の政治家たちの票集めに
利用されている感じですね。　
　
また、今までは韓国の中間に位置する
大田（テジョン）市が
ソウル-釜山間の交通の要として
発展して来ましたが

　
これからセジョン市の発展に伴って
その役割もテジョン市から
セジョン市へ移行していくかもしれませんね。